2005年12月11日日曜日

茄子

映画鑑賞日記で作品を紹介する時には監督さんと役者さん2名の名前しか記していません。
映画を作り上げるのに必要なスタッフは他にもたくさんいるわけですが、私も含めてその他の人たちがどんな仕事をしているのかなかなか知る機会がないように思います。

黒田硫黄さんの漫画作品「茄子」の2巻では映画作りにかかわる現場の人たちの雰囲気をちょっとだけ味わう事ができます。
黒田さんの作品で普通に手に入るものはだいたい読んでいるのですが、もともと彼の作品は非常に映画的なのです。
画の構成が映画の絵コンテのような雰囲気で、特に絵が上手という訳ではないのですが一コマ一コマのカットに濃い魅力があり惹きつけられてしまいます。

茄子は3巻完結の作品ですがその中で特に気に入っているのが今回取り上げた2巻の冒頭の作品「39人 前編・後編」です。

弟と妹を連れて3人で親戚の家で田舎暮らしを始める事になった女子高生の高橋 綾は、親戚の家に借りを作りたくないと思いできるだけ自力で生活するためにお金をこまめに稼ぎたいと思っている。
そんなところにこの土地に撮影のためにやって来た映画製作の人々とのやりとりを描く。

綾が発揮する「生きる」ためのたくましさやエネルギーは見ているだけで元気をもらえそうですし、なぜだかちょっぴり泣けたりもします。

一枚の画から映画的な感傷を充分に味わえる黒田作品は映画ファンに是非観て欲しい作品です。


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