2007年3月30日金曜日

SPケーブルの変更で思うこと

オーディオにかかわりを持つようになった時の時代背景が影響していると思うのですが、私の中で理想的なスピーカーのデザインはブックシェルフ型の3ウエイスピーカーでした。

具体例を挙げれば、PMCのIB、MBシリーズやATCの100番などです。
自分の部屋で鳴らすのにこれ以上のサイズは過剰ですし、2ウエイでは表現力で物足りないと思っていたからです。

しかしこの考えに宗旨替え(少し大げさですが)をもたらすきっかけとなったスピーカーとの出会いがありました。

ひとつはイベント会場で出会ったKRELLのLAT2です。
組み合わせていた機器は失念してしまいましたが、スピーカーにつないでいたケーブルはトランスペアレントの超ど級のものでした。

この時の音は衝撃的で、2ウエイの小型スピーカーではありえないようなエネルギーと表現力の余裕がありスピーカーのサイズによる偏見がなくなった瞬間でした。

もうひとつは私が現在使用しているInCognitoです。
これもイベント会場で出会ったもので、つないでいたケーブルはステレオヴォックスのハイエンドケーブルでした。

同じ会場で他メーカーの価格が2~3倍ほどの大型スピーカーも鳴らしていたのですが、トータルの表現力でこのスピーカーを負かすものがありませんでした。


話は変わりますが、私が使用していたスピーカーケーブル ワイヤーワールドのEQUINOXⅢはPMCのIB1Sを導入した時に購入したもので、今まで切り売りのケーブルで価格が800~1万円/mくらいまでのものでいくつか比較した中で、音のパフォーマンスで勝ち残ってきたものです。

音の傾向は、独特のエネルギー感はあるが積極的に音楽を表現するのではなくおとなしいイメージの音です。
どちらかといえば、刺激的な音を抑えて聴き疲れがしない映画館の音のように感じていました。

今回、スピーカーケーブルをEau Rougeのものに交換したわけですが、音の傾向は今までに聴いたことがあるスピーカーケーブルとは全く違うものです。

音の出方がすごく軽いのですが濃厚で、音情報がものすごく緻密です。
ドルフィンの方でケーブルのエージングを済ませてくれたらしく、つないで音を出した瞬間から異次元の音という感じです。

ボーカルは等身大で伸びやか。
機械的に音を分析するのではなく、どこまでも音楽の一体感を伴っていながら音楽の階層構造をあばくような、音情報や音色の具体的な表現を楽しめます。

もともとInCognitoは定位が良いスピーカーですが、tATuの7曲目MALCHIK GAYの冒頭で低音がズンズンと来るところは、耳に聞こえない衝撃波が左右の壁を伝って後ろに回りこむのがはっきり分かるようになりました。

松田聖子の昔のアルバムは、薄い感じの音であまりメリハリを感じないため私にとっては再生が難しいディスクの一つですが、センターに歌い手の気配を感じるような具体的な表現が素晴らしいです。


今回のスピーカーケーブル導入で、私の記憶の中で目標となって生き続けていたLAT2やInCognitoの当時の音にコンプレックスを感じる必要がない域までたどり着けたかなと実感しています。

2007年3月27日火曜日

SPケーブルのリニューアル

見積りをお願いしていたのに、どういう訳かドルフィンからスピーカーケーブルが届いた。
仕方がないのでとりあえず使ってみよう。(笑)

N岡さんに伝えていたケーブルの仕様は

 ・Eau Rouge の ER-SP333 AG がベース。
 ・バイワイヤリング仕様。
 ・長さは1m。
 ・両端Yラグ仕様。

というところ。
今まで使っていたのは、WIRE WORLD の EQUINOXⅢ BW 1.5m で使用9年目になります。

EQUINOXⅢは太くて固く、まるで蛇のようなケーブルであちこちに無理な力がかかって、機械工学的には音に悪そうでしたがER-SP333 AG BW(仮称)は細くてやわらかく、どこにも無理な力がかからず素晴らしく使い勝手が良いです。

とりあえず接続して写真を撮ったところで時間切れです。
音は後日存分に楽しみたいと思います。


2007年3月25日日曜日

アクセサリーの使いこなし

ある程度グレードの高いオーディオ機器は使いこなすのに忍耐と努力が必要になる。
しかし、60tタイプのCFRPやバランスケーブルのDolphin Analogなどを使っていると、オーディオアクセサリーもグレードが高くなってくると使いこなすのに機器と同じように忍耐と努力が必要になることを実感しています。

ドルフィンから品物を取り寄せるようになった初期のころは単純に音の激変ぶりにただ感動する連続だったのが、ここ最近は品物を導入した直後はほとんど変化を感じることができなかったり、パフォーマンスを引き出すのにかなり時間を要するようになってきたことからそう感じています。

ただ、パフォーマンスを引き出した時の改善効果は素晴らしく他に代えがたいものだと思います。

そういうわけでDolphin Analogの音もポテンシャルが高いことは分かるのだが、なかなか安定させることができない。
写真で言えば広角なのにピントが合っていない感じで、音楽を聴いていてももどかしさを感じて楽しむことができない。
ただエージングが終わるのを待つだけでは納得できず、細かなセッティングなどを詰めたりして「良く鳴らす」努力をしています。

それでもようやく再生を始めて1時間くらいで立ち上がるようになってきました。
立ち上がった時の音は濃淡、緩急自由自在という感じで、およそ音楽から感じることができる愉悦を味わいつくすことができるという感じ。

ドルフィンのN岡さんによればこのケーブルは30分で立ち上がるはずのものということなので、完全にエージングが終わるまでもうしばらくというところかな。

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調整項目:

・パワーアンプの壁コンセントで使用していたER-CBXを取り外して、DVDプレーヤ用のコンセントに取り付けた。
(音像がややぼわぼわして実体感が薄いため実施)

・CP-65のボリュームとミュートの配線を外した。
(手動のボリュームは不調の為使用できない。チャンネルセパレーションUP。)

2007年3月18日日曜日

ツーリング200703

今日は今年の初ツーリングに行ってきました。(昨日のオーディオフェアもプチツーリングという感じですが)
気温が最高でも10℃。最低で6℃と結構つらい条件でした。

目的地は山口・津和野方面。写真は角島の海岸風景です。
帰りは下関→西港でフェリーを利用。
(走行距離:354.6km)

今日のメンバーは

・DR-Z400SM ツーリングリーダー。自分のバイクをなかなか固定できないようです。

・ZR-7 シートのあんこ抜きに抜かりなし。紅一点ベテランライダー。

・ZR-7S 最近はリーダーから「豪族」と呼ばれています。

・GPZ1100 見た目ジェントルメンのナイスミドルですが、実はスロットルをちまちま開けるのが大きらいです。

・XJR1200 さびが出ていたシリンダーヘッドを塗装して新車気分?

・GSX1400 実は通勤経路が私と同じで、彼の運転するEKワゴンを峠で私は知らずにぶち抜いていくそうです。

・CBR600RR 解体屋に勤めている職業柄、お金をかけずに改造を楽しんでいます。

・GSX-R1000(03) 最新のデジタルグッズの事ことなら彼に聞くのが一番のようです。

・RGV-Γ(最終型) 今日は彼女とタンデム。専用シートを使ってましたがつらそ~。


2007年3月17日土曜日

国際会議場のフェア2007

今日は福岡国際会議場で行われている九州ハイエンドオーディオフェアに行ってきました。

映像のブース以外は全て回ってきましたが、音のパフォーマンスは薄すぎたり濃すぎたり等、まともに「音楽」を再生できているブースはほとんどありませんでした。

その中で例外的に良く鳴っていたのが写真のシステム。

Nagra CDC(ナグラ) → NHB-108 model one(ダートジール) → CS3.7(ティール)

ナグラのCDプレーヤーはプリアンプを内蔵したタイプでした。
ウォームで生々しく、演奏の空気感の表現も抜群でした。

途中トラブルで片チャンネルだけしか音が出なくなったのですが、一瞬自分の斜め前に座っている人が奇声をあげているのかと思ったほど生々しい表現といえば想像できるでしょうか。(笑)

音の「基本性能」で久しぶりにしびれさせてくれたシステムです。


2007年3月12日月曜日

Dolphin Analog2

仕事が一段落着いたので今日は有給をとりました。
家人がいないので朝から気ままに音楽を聴いています。


さて考えてみるとドルフィンから送られてきた品物は、使ってすぐそのすごさが分かるものとしばらく時間をかけないと良く分からないものがありました。

過去に思い出すのは「奇跡のジャンパー」と壁コンセント「ER-PSEX」。
「奇跡のジャンパー」はスピーカーケーブルにバイワイヤリング接続にこだわる私は時間をかけることをせず、すぐに送り返してしまったので「すごいもの」なのかどうかは今でも分からない。

ER-PSEXはER-PSXと交換してすぐは違いが全然分からなかったが、2,3日時間をかけると徐々に立ち上がってくるのが分かった。

この辺は品物が「そういうもの」なのか、私の耳か聴きどころが悪いのか、環境の適合性のようなものがあるのか良く分からないところです。

今回導入したDolphin Analogもオルトフォンから交換してすぐは違いがほとんど分かりませんでした。
若干、低域が力強いかなという程度でなんだか重ったるい鳴り方で、オルトフォンに負けている部分も感じられました。

しかし、何か少しずつ見えないゲートが開いてくるような感じでだんだん底力を発揮し始めてきたようです。
音が少しずつ「立ってくる」ように感じます。オーディオ的な用語ではトランジェントが良いということになるのかな。

クラシックの生の演奏を聴いていて音のスピードが速いとか遅いとか気にする人はいないと思います。
これは生に比べると圧倒的に反応が遅いオーディオでだから問題になる事柄で、それをほとんど気にする必要がない音と言えば分かりやすいでしょうか。

「スーパーマン リターンズ」のサウンドトラックで大太鼓が鳴るところでは、今までは距離を置いてああ鳴っているなという感じだったのが、ぐっと距離が近づいて間近で太鼓が炸裂する感じです。
しかも、ピークで全く破綻を感じさせずに余裕しゃくしゃくで表現しきってしまいます。

音圧が妙に高くて再生がしづらい、「斉藤由紀BEST 01年版」を再生しても全く破綻を感じさせず余裕しゃくしゃくです。
ソースの粗もちゃんと表現しますが、変に音情報が固まってしまったりすることがなくきれいに描ききってしまう感じです。

ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」は環境音が収録されているせいか録音の生々しさで評判のCDですが、ヒスノイズは無視できない大きさですし、演奏の音自体は大して良いとはいえないなんてこともはっきり分かります。(笑)

どこか帯域バランスが変わってしまうような「くせ」を全く感じないケーブルで、ケーブルの存在を感じさせないところが特徴と言えるかもしれません。

それだけにピークコンサルトのようなトランジェントの優れたスピーカーを用いないと、このケーブルの評価は全く反対のものになる危険を感じます。


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上の文章は今日のお昼過ぎに書いたものです。
夜になってゲートがさらに開いてきたのか音がなんだか大変なことになっています。

はっきり言ってこのケーブルは「化け物」です。
まるでスピーカーが変わってしまったかのように自由闊達に鳴っています。
InCognitoの能力に久しぶりに「恐怖」を感じました。
このまま爆発してしまったらどうしよう(笑)という感じです。

N岡さんが「パーフェクト」と自認するだけのことはあります。
いやはやこの音質向上のレベルは過去最大クラスと言えるかも。

2007年3月10日土曜日

Dolphin Analog

Stereo Sound 150号の記事によれば、ΩSACD2にはDACが3個載っていて、1個はシングルエンド出力用、2個はバランスド出力のLRに1個ずつ使っているそうです。
そこから考えてもこのプレーヤーはプリアンプとバランスド接続して使うのがデフォルトと言えるでしょう。

ドルフィンのN岡さんからも勧められていたのでバランスケーブルを製作してもらうことにしました。

今まで使っていたのはオルトフォンのRCAケーブル AC-5000Si SILVER 1m です。
このケーブルは購入して8年目になります。
音の傾向は、さらりとした上品な感じでとくに中高域方向にきめ細かな情報量が確保されるという風に感じます。
オルトフォンのケーブルは他にも何種類か使ったことがありますがこのケーブルはその中では例外的に音のクオリティが高いと思います。

今日、ドルフィンから届いたケーブルは Dolphin Analog ver.7 XLR 0.9m です。
手にとってみるとものすごく軽いです。
ほとんどキャノンプラグと、カーボン被覆だけの重量しかないように感じます。

機器に装着してみると分かるのですがキャノンプラグの精度が極めて高いです。
プリ→パワーアンプ間につないでいるオルトフォンのキャノンプラグは差した状態でもゆるゆるですが、Dolphin Analogはまるで機器と一体となってしまったかのように隙間なく装着されます。

出てくる音に関してはまだ評価できるレベルではないので後日書くことにします。


2007年3月7日水曜日

チューニングマシン

絵画には絵画の趣があってそれはそれで楽しめるものですが、対象を万人に対して正確に表現しようとする場合ピントの合った写真、ましてやハイビジョンカメラで撮影された素材には到底及ばない。

オーディオの世界では音楽が絵画的に表現されるのが当たり前になっていて、むしろ写実的描写ははなからあきらめるとか、それがどういうものなのかさえ良く分かっていないように感じる。
「原音再生」に関する不毛な論議や、「オーディオは部屋から」といわれる意見がその最たるもので、まずスピーカーから出てくる音情報そのものに音色や空間情報などのリアリズムが確保されていなければオーディオに情熱を傾ける意味はないと思う。

ΩSACD2ドルフィンバージョンが備えているパフォーマンスはまさにこの写実的表現で抜群に優れているところ。
「抜群」というのはもちろん私の経験上の話で、世の中には私の知らないもっと優れた製品はあるのかもしれないが。


2週間経過して音がやっと本物になってきたようで、解剖学的に音楽の構造を紐解くようなリアリズムにおもわず笑いが込み上げてきて止まらない感じです。

オーディオ製品に限らず工場から出荷される製品は、どんなに価格が高くてもそれに見合ったものならお金に糸目をつけないというような人を対象には作られていません。

設計者がやりたいように設計したものではなく、必ずコストなどの制限にのっとった「妥協の産物」です。
これは私が仕事で装置を設計する時にも全く同じことが言えます。

つまり市場で普通に出回っている製品はそれでベストなものではなく、上手に手を加えてやればいくらでもまだその性能を上げてやることができるものだということです。

2輪のレースでスーパーバイクというカテゴリーがあります。
ここで走らせているマシンは市販のものばかりですが、そのパフォーマンスはもちろん我々一般の消費者が手にするものとは大きく違っています。

ドルフィンはオーディオの世界では「名チューナー」と呼んでよいと思います。
ΩSACD2ドルフィンバージョンやER-DACは、私がドルフィンに支払った代価からすれば破格に安いと思う。
これらの製品はこれから先、正確に動作する間は自分の手元から手放すことは絶対無いだろうと確信しています。

2007年3月4日日曜日

ΩSACD2ドルフィンバージョンの音


ΩSACD2ドルフィンバージョンの音はなかなか安定してくれない。
続けて再生し続ければ徐々に立ち上がってくるようですが、通電しているだけではすぐに落ちていくようです。

悪い時は音の焦点が定まらない。
エネルギッシュだけれどもどこか遠くで鳴っているような感じで、定位もおかしい。
聴いていると眠くなってくる。

良い時は音が濃く、精緻でリアリズムを突き詰めたような感じになってくる。

デジタル信号の周波数が44.1、88.2、96、192kHzで切り替えができますが、私は192kHzが良いと思う。
44.1と88.2は聴感上有意差はないと思う。
96から広がりが出てくる反面、音の芯が薄くなってくる傾向があるが良く鳴っている時は音の芯もきちんと確保される。
それで広がりがもっとも良く出る192kHzを選んでいます。

ドルフィンのN岡さんから最終型のΩSACD2は出力電圧が初期型に比べると高くなっているので、プリアンプのゲインを-6dbくらいまでの範囲で落としてみるようにアドバイスをもらっているので試してみたが、0dbの位置が私は一番好みでした。

ゲインを下げると、音が薄くなって楽器や人の声が何か別の違うものになってしまうように感じます。
ただ、-2dbくらいだと音の輪郭強調が適度にほぐれて演奏の一体感のようなものが良く出るように感じます。
私には音色が薄くなるデメリットがだめなのでNGですが。

プレイヤーが到着して12日目。音が「自分のもの」になるにはまだまだこれからでしょう。