私がCDを聞き始めたのは19歳の時でした。
CDが登場したのが1982年ならばもう6年ほど経っていた事になります。
それまでオーディオ(ステレオ)は家にありましたが、音源はアナログディスクやカセットテープ、FM放送でした。
初めてのCDプレイヤーはSONYのマルチディスクプレイヤー MDP-201という、LDとCDの両方が再生できると言う代物。
当時の定価で確か129,800円だったと思います。
初めて聴いたCDの音は、当時リファレンスであったアナログディスクの音に比べて圧倒的にSN比が良く、音にも安定感があるように感じ一発で虜になりました。
MDP-201を購入して3年ぐらい経った時に、マルチディスクプレイヤーでない、専用機のCDプレイヤーだともっと音が良いに違いないと考えてケンウッドのDP-8020というCDプレイヤーを購入しました。
当時の定価で80,000円だったと思います。
音は期待したとおりで、SN比がさらに良くなり専用機の貫禄を見るような気がしました。
余談ですが当時はケンウッドのプリメインアンプも使っていて、当時のケンウッドの音は細身で脚色をあまり感じない内省的な音という印象でした。
現在、試聴会等でPASSのアンプを聴くと当時のケンウッドの音の感触と似ていると感じる事があります。
DP-8020が壊れた時に、DENONのDCD-S10というCDプレイヤーを購入しました。
定価は180,000円です。
このプレイヤーはご存知雑誌等では絶賛されていたモデルで、この後もシリーズ化されベストバイの常連となっていたモデルです。
DP-8020と比べると音に厚みがあり情報量も多かったです。
さらに時代が進み、90年代の後半にはDVDが登場しました。
私はCDプレイヤーの他にLDプレイヤーも所有していましたので、当然DVDプレイヤーにも興味がありました。
DENONが初めて作ったDVDプレイヤー DVD-5000は発売当時は最も高価なDVDプレイヤーだっとと思います。
定価は280,000円です。
プレイヤーも持ってないのに既にDVDのディスクは30枚ほど所有していた事もあり、DCD-S10からDVD-5000に買い替えました。
CDの音質なのですが、DVD-5000はDCD-S10よりもわずかに音の分解能が高く優れていました。
DVD-5000を使い続けているうちに、DENONの音に疑問を持つ様になってきました。
楽器や声の質感をリアルに表現するわけでは無く、輪郭を強調した機械的な音に感じ始めました。
長く聴いていると疲れるのです。
CDの音をもっと良くしたい私としては、DVDの画質はそこそこでも良いのでオーディオの部分をしっかりと作っているプレーヤーを探しました。
選んだ結論はゴールドムンドのSR-DVD Evoでした。
この機種はトランスポートで、定価は580,000円。
自宅ではやっていませんが何度か試聴もして楽器の質感を良く再現してくれそうな感触を感じて決めた機種です。
自分のシステムにつないで音を出した瞬間の戸惑いを今でも良く覚えています。
音の質感は良いのですが音がぼけぼけで全然情報量が少ないのです。
高級機に特有の「エージング」が必要なのはなんとなく分かっていましたが、時間によってかなり改善はしたとはいえ最初に感じたどこかボケたような情報量の少なさを払拭する事はできませんでした。
それまで、プレイヤーの購入はグレードアップを期待しての購入で実際グレードアップには成功してきました。
しかしSR-DVDだけは勝手が違ったわけです。
「以前の方が音が良かったんじゃないか?」とたびたび疑問に思い、何度もDVD-5000とトランスポート部の聴き比べを行うことがありました。
その都度、楽器や声の質感のリアリティはSRの方が上だと言い聞かせるように納得して使ってきました。(笑)
結論はSR-DVDの音は情報量は価格が半分に満たないCDプレイヤー並ですが、味付けのセンスでうまく音を整えて聴かせていると言う事です。
ただその味付けも聴き慣れてくるとただの癖であって、現在私が所有しているパナソニックのDVDレコーダーと聴き比べてみると、情報量ではSRが上ですがDVDレコーダーの方が音色はニュートラルだったりします。
そして長く聴いていて疲れないのは意外なことにDVDレコーダーの方だったりするのです。
SR-DVDと付き合いだしてプレイヤーのグレードとは一体どこで決まるのだろう?と常に自問しています。
もちろん全ての項目で文句なしに上位に立てるのが本当に優れたプレイヤーなのでしょう。
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