今年シアター部屋で鑑賞して面白かった作品を記しておきます。
アンサンブルコンテスト
2023(日本) BD-ROM
監督:石原立也
出演:黒沢ともよ 大橋彩香
12月、黄前部長体勢になって最初のイベントはアンサンブルコンテストに出場するためのチーム作り。
響け!ユーフォニアムの最新作。小編ですがなかなかに濃い内容になってます。8人以下の小編成のチームに別れて活動するなんてユーフォでは初めてのイベントで新鮮です。だいたい同じ学年の気の合うメンバーで編成すると思うのですが中には怖い先輩に自らアプローチする子もいたり、あぶれてしまって焦っている子もいたりと楽しめます。黄前部長の名采配ぶりも見物です。
シャイロックの子供たち
2023(日本) WOWOW
監督:本木克英
出演:阿部サダヲ 上戸彩
厳しいノルマの達成を求められる銀行支店。営業の一人に10億円の融資話が持ち込まれる。
少しお話の底が浅いような気もするのですが銀行とお金にまつわる物語として楽しめました。阿部サダヲさんや柄本明さんの演技も素晴らしいですし。昔母が銀行に勤めていたことがあったそうで1円でも勘定が合わないと家に帰れないというような話をしていました。今も基本的には同じなんでしょう。
シン・ウルトラマン
2022(日本) WOWOW
監督:樋口真嗣
出演:斎藤工 長澤まさみ
日本では次々に怪獣が現れ都度苦労しながら撃退している。
「シン」が付くシリーズもなんだか軽薄な感じがしてあまり興味はないのですが、庵野氏の才能的には何かモチーフを得て料理するやり方はやりやすいのだろうと思います。そういう意味ではこの作品はウルトラマンのエッセンスを十分味わえて面白かったです。個人的には次々に現れる星人達はエヴァの使徒を彷彿として楽しめました。
金の国 水の国
2023(日本) WOWOW
監督:渡邊こと乃
出演:賀来賢人 浜辺美波
仲の悪い両国からはそれぞれの国から最も美しい女性と最も賢い男性を送り合って2国間で婚姻を結ぶ取り決めがある。
戦争が続くこんなご時世だからこそこの作品にはグッとくるものが有ります。冒頭は寓話のような印象を受けるのですが作品の根っこにあるものは大人の世界を描いています。この手の作品は終盤でどうまとめるかで子供向け作品かどうかの分かれ道になるのですが素晴らしい終わり方ですね。どちらかと言えば富める国、大国の方に平和へのキーがあるはずなのに現実では逆の展開しか目にすることがない。少なくともこの作品の余韻に浸っている間は幸福な気持ちになれます。
ケイコ目を澄ませて
2022(日本) 日本映画専門ch
監督:三宅唱
出演:岸井ゆきの 三浦友和
耳の聞こえない女性がホテルの従業員の仕事をしながらボクシングジムに通い続けている。
耳が聞こえないハンデはボクシングでも同じでゴングは聞こえないしレフェリーやセコンドの指示も聞こえない。だけどプロテストには合格したし試合も連勝している。特に才能があるわけでもないけど本人の情熱と支えてくれる周りの人たちの優しさがあるからでしょう。女性でボクサーの役作りをするのは男性以上に難しいと思う。
ヴイナス戦記
1989(日本) BS12
監督:安彦良和
出演:植草克秀 水谷優子
金星で戦争が始まり平和な日常が壊されていく。
安彦良和氏のこの頃のキャラクターデザインは完成度が高くて好きですね。ストーリーは粗いけどこれはこれで80年代のノスタルジーが十分に味わえます。個人的には若者の抑圧と反抗というあたり「メガゾーン23」とよく似た世界観に魅力を感じます。
かがみの孤城
2022(日本) WOWOW
監督:原恵一
出演:當真あみ 北村匠海
学校に居場所のない中学生7人が孤城に集められる。朝7時から夕方5時まで居ていいがルールが破られると狼に食べられるという。
なんとなく生きづらさを感じる風潮がありそれはどこから来ているのか、そしてそれを解消するにはどうしたらよいのかなんてことを考えさせられる。人同士が完全にわかり合えるのは無理ってもんだけど、困っていたら助けたり助けられたりが出来やすい世界は生きやすいかもしれない。悪意より善意の方が美しいし気持ちが良いものでしょう。
土を食らう十二ヵ月
2022(日本) WOWOW
監督:中江裕司
出演:沢田研二 松たか子
長野の山中に一人暮らす老作家を描く。彼の元には女性編集者が通ってくる。
一人で暮らすということは毎日自分が口にするものを自分で用意するということ。彼の生活は食事を用意することを中心に回っていてその合間に原稿を執筆するような感じ。「人は一人で生まれてきて一人で死んでいく」ということをしみじみと語っているような気がします。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
2007(アメリカ) WOWOW
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス ポール・ダノ
20世紀の初頭からアメリカで油田を掘り当てる仕事をしている男。
最初は一人でやっていた掘削の仕事もやがてチームを組んだ大がかりなものに変わっていき成功を収めていく。仕事の才能は誰よりもあるのは間違いないが彼は誰も信用することが出来ずいつも小さな息子だけを相棒にして暮らしている。だけどいつしか息子との絆もあやしくなり。。。 彼の独特の美学のようなものはあくなき冨への執着心から来るものなのか育ってきた過程で身につけたものなのか。
グリーンブック
2018(アメリカ) BS4K
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ
腕っ節の強いイタリア系の白人が黒人ミュージシャンに運転手として雇われる。
黒人が使ったグラスをゴミ箱に捨ててしまう程毛嫌いしているのに黒人に仕えることになる。そしてなぜか黒人ミュージシャンはアメリカ南部にツアーの旅に出る。彼はツアーの困難さを分かっていて使えそうな白人を雇ったと思うが彼がなぜそのツアーを決意したのか本心は途中まで分からなかった。そのことを白人の彼が理解した時に結ばれる絆が見ていて爽快でした。
さまよう刃(2009)
2009(日本) WOWOW
監督:益子昌一
出演:寺尾聰 竹野内豊
たった一人の肉親である娘を惨殺された父親に犯人を教える電話がかかる。
正直内容は全然納得出来ないのですが引き込まれる作品です。現代の法律では犯罪被害者に復讐する権利は認められず、加害者の量刑が納得がいかなかったとしても被害者は回復不能だったり遺族は我慢を強いられたりする。そこのところをからませての問題提議ですがどうにも不自然なアクションが気になってしまう。
プリズナーズ
2013(アメリカ) WOWOW
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ヒュー・ジャックマン ジェイク・ギレンホール
ご近所さん同士でホームパーティをやってる最中に女児二人が行方不明になる。
ヒュー・ジャックマンとしては大変かっこ悪くて印象が悪い役どころですが彼ならではのはまり役でもあるかなと思う。サスペンスとしては観るものを引き込む力が合って優秀だけどあれはなんなの?っていう部分も多いような気がする。特に犯人の動機とあの迷路の意味は最後まで分からなかった。分からないままにしておくのもテクニックなのかな。
いつか読書する日
2005(日本) 日本映画専門ch
監督:緒方明
出演:田中裕子 岸部一徳
坂の多い町(長崎?)で一人暮らししている50歳くらいの女性の日常を描く。
主人公の女性は地味で他人から見ると何を楽しみに生きているのか分からないかもしれないが本人は早朝の牛乳配達が生きがいだったりする。なにかに追われるわけでもなく、生きている人はそれぞれのドラマを紡ぎながら日々を生きていくだけ。だけどそれが最も平和な人の営みなのかもしれない。
先生、私の隣に座っていただけませんか?
2021(日本) WOWOW
監督:堀江貴大
出演:黒木華 柄本佑
妻の作品を手伝っている漫画家の夫婦。夫は自分の作品は描かずに家事などを行っている。
作品を仕上げる間も次の作品を練っている時も作家は気が張っているものでしょう。描くことを放棄したらそういうプレッシャーからは無縁でゆるく生きている旦那の姿に魅力を感じなくなるのも無理はないかなと思う。しかし黒木華さん演じる妻のネチっこさは予想以上でこれならスパッと別れた方がまだお互い随分楽だと思う。
クライ・マッチョ
2021(アメリカ) WOWOW
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド エドゥアルド・ミネット
テキサスで昔カウボーイとして鳴らした一人暮らしの老人。恩がある男からメキシコに住む自分の息子を前妻から連れ戻して欲しいと依頼を受ける。
91歳と高齢のイーストウッドの新作は世に出てくるだけで価値があるものです。最近の彼の作品は「良き老人」のあり方なんかを個人的には強く感じます。ゆったりとした緩慢な動きしか出来ないけどそれが逆に相手に安心感を与え凜とした精神で相手に尊敬の念を抱かせるというような。相変わらず周りの連中はろくでもない人たちが多いように見えるけどあえてそういう環境でこそ彼の居場所があるよう見える。
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