文庫本の作品は出来るだけ手を出さないようにしているのですがこの作品に関しては読んでみたいという欲望に負けて古本の文庫本で初めて読みました。
江戸時代。お上の所有する名刀の切れ味を試すポストにある山田朝右衛門。
切る対象は罪人の首や胴。江戸で打ち首の刑が決まった者は全て朝右衛門が首をはねることになっていて作中の記述ではすでに1000人以上の首をはねている。
そういう背景の作品なので当然ですが各話毎回のように誰かの首が落とされるシーンがあります。しかしこの作品はいわゆるキワモノとは違って人間の生き様を深く考察させる作品と言ってよい秀作です。
例えば現代と比べるとこの当時は死罪になる罪の重さが違いますし、役人による数の帳尻あわせのために無罪の者を有罪にでっち上げたりなどのことも描かれています。
それを朝右衛門がどのような気持ちで斬首に臨むのか心情を説くシーンなどあります。
それから巻末に著名人があとがきを寄せていますがそれがなかなかにそうそうたる人物ばかりです。
・篠田正浩(映画監督) ・仲代達矢(俳優) ・つかこうへい(作家、劇作家) ・松本幸四郎(歌舞伎俳優)
あとがきも読みごたえがあります。
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