2009年7月20日月曜日

InCognitoについて思うこと

スピーカーのInCognitoは使い出してからそろそろ5年経ちます。
今まで使ってきてこのスピーカーに思うことは、とにかく鳴らしにくいということと潜在能力がものすごく高いということです。

あるオーディオショップの店長さんがアメリカのCES(コンシューマ・エレクトリック・ショー)を訪問した時に書いたブログの記事でピーク・コンサルトというブランドをものすごく高く評価していたことがこのブランドに興味を持った第一歩でしたが、実際にデモ会場でInCognitoの音を聴いて魅入られることがなければ導入を決意することはなかったと思います。

スピーカーのつくりは堅牢でサイズからは信じられないくらい分厚い木材でエンクロージャーを構成しています。
スタンドの部分とスピーカーの部分は一体となっていて、スタンドの内部にネットワークが組まれています。
このサイズなのに1本41kgもあり、見た目の割には持ち運ぶのは結構大変です。

このスピーカーの音の特徴を説明するのは今でも難しいですね。
こってりと色彩を濃く乗せるタイプではなくてどちらかと言えばそっけない方だと思います。
PMCのように「モニタースピーカー」を標榜するスピーカーよりも、このInCognitoの方がよほどモニタースピーカーとしての能力は高いといえるくらいディスクに入っている音情報を微細に表現できます。

多分何の前知識もなしにこのスピーカーを鳴らそうとしても絶対に鳴らせない自信があります。(笑)
ステレオサウンド誌で評論家の柳沢氏がこのスピーカーが発表された時に記事を書いていますが、普通に鳴らせばその記事で書いてある通りに価格の割にはいまいちな鳴り方しかしないでしょう。

5年間使ってきてそれなりにその能力を引き出せるようになってきましたが、まだこのスピーカーの持っている能力の「底」は見えてこないですね。
以前使っていたPMCのスピーカーは弦楽器のソロ演奏の音色などが致命的に駄目だったりと弱点がはっきりとしていましたが、InCognitoの音色に関しては特に苦手な対象を見つけることができないですね。

セッティングを少し変えただけでそっぽを向いてしまって戻すのに随分時間がかかってしまうのが当たり前になっていますが、よく鳴らすことができた時のデジタルを感じさせない深遠な表現はなかなか他では得られない世界だと思います。
ピークコンサルトのラインナップではこのスタイルのスピーカーはもう残っていません。
本物の逸品であることは間違いなく手に入れていて本当によかったと今更ながら感じています。

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