2019年12月16日月曜日

今年観た映画作品2019その2

その2です。

あなたへ
2012(日本) BSプレミアム
監督:降旗康男
出演:高倉健 田中裕子

故郷の長崎の海に散骨して欲しいという妻の遺言に従って富山から車で旅に出る刑務官の男。



地元福岡県の郷土の星でもある健さんですが数多くある出演作の中に個人的にはあまり面白いと言える作品がありません。あえてあげれば「ブラックレイン」といったあたりになります。
この作品は健さんの最後の映画出演作。いつもの不器用な役柄の健さんらしさをおさえた作品で周りの人間とのかかわりを描くロードムービー。童謡歌手だった妻との美しい思い出を追いながら旅する健さんは心の底では妻の心に疑問を持ちそして他でも人間の裏切りを目撃する。ハートフルな作品なのですがミステリーでもあります。



教誨師
2018(日本) WOWOW
監督:佐向大
出演:大杉漣 玉置玲央

死刑囚に面会し会話する教誨師の男。彼の担当する死刑囚は6人居る。



ほぼ全編に渡って拘置所の一室での囚人と教誨師の会話のシーンが続く。
しかし全く退屈な作品ではなくむしろ6人の死刑囚と彼らが持つ闇のようなものに引き込まれていく。
大杉漣さんの遺作となったこの作品はあまりに彼の人柄を表しているような作品でなんとも言えない後味が残る。


スキャナーズ
1981(カナダ) WOWOW
監督:デビッド・クローネンバーグ
出演:スティーブン・ラック マイケル・アイアンサイド

他人の心をスキャンする超能力を持つ若者。彼の助けになろうとする博士と彼を仲間に引き込もうとする強力な能力者がいる。



クローネンバーグ監督の出世作。監督の作品では個人的には「デッドゾーン」が大好きですね。
この作品、脚本自体は荒唐無稽なところがあるのですがスキャナー達の不気味な演技がなんとも魅力があります。コンピューターや電子機器に対する考え方も今観るとなんともおおらかで微笑ましいかなと思います。


未来のミライ
2018(日本) WOWOW
監督:細田守
出演:上白石萌歌 黒木華

両親は生まれた妹を連れて家に帰ってくる。それまで一身に浴びていた親の愛情を妹に奪われた幼児はおもしろくない。




「バケモノの子」が個人的にはもう一つだったこともあり正直この作品は期待していませんでした。テーマ的に自分には合わないだろうと。。。しかしいい意味で裏切ってくれた作品です。
90歳の新藤兼人監督がTV番組のインタビューで、幼少の頃駄々をこねても母親におもちゃを買ってもらえなかった腹いせに母親の足を蹴ったことを「一生消えない罪」と話していたのが強烈な印象として残っています。
誰でも子供のころを振り返ってみれば愚かで恥ずかしい存在であったと思います。まあ今でも私は内面は子供な部分がかなり残っているのですが(笑)。自分の存在の系譜、座標軸というものを考えるきっかけになりました。


日の名残り
1993(イギリス/アメリカ) BSプレミアム
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:アンソニー・ホプキンス エマ・トンプソン

第一次大戦後、イギリスの貴族の屋敷で執事として働く男を中心に屋敷での暮らしぶりが描かれる。




執事の男は自分の人生をこの屋敷に捧げることに誇りを持っているが、それが本当に幸福な人生だったかのかどうかを問うような名残がテーマだと思う。屋敷の豪華さ、たくさんの要人が訪れそこで働く人たちの姿など映画の作りがしっかりしていてその世界の空気感を十分に味わうことができる。


MR.LONG/ミスターロン
2018(日本/香港/台湾/ドイツ) WOWOW
監督:SABU
出演:チャン・チェン バイ・ルンイン

凄腕の台湾の殺し屋が単身日本にやって来てひょんなことから知らない人たちと暮らし始める。



一人で困っている人がいたら周りの人たちが助けてくれる古き良き日本人社会を描いています。ただし本当に生きていく力のない人まで助かるかというと。。。
最初何もないところから強い絆が生まれるというのは見ていて気持ちが良いです。


ヘレディタリー/継承
2018(アメリカ) WOWOW
監督:アリ・アスター
出演:アレックス・ウルフ トニ・コレット

祖母が亡くなり残された四人の家族はどこか暗い影を引きずっている。




とても鬱な作品ですが作品の世界観が緻密に描かれていて引き込まれる作品です。
家族が暮らす森の中の一軒家がなんだか手作り感が満載で味があるのですがその家の中で母親がミニチュア作りに励んでいるのがまた不思議な世界観を醸し出します。
この手の作品にはよくあるのですが作品世界の音なのか現実の音なのか分からなくなる瞬間があって恐怖感が増します。


ドント・ヘルプ
2017(メキシコ) WOWOW
監督:ギレルモ・アモエド
出演:マリア・エボリ  バネサ・レストレポ

上院議員の屋敷に泥棒に入った3人姉妹。目的の金庫を開けても現金がなく仕方なく家人を脅して現金を奪うことにする。



正直突っ込みどころは満載で完成度は低い作品ですが個人的にエクソシスト譚は面白いです。それに加えてキリスト教圏に独特な罪の意識や祈り、悪魔に対するイメージなど新鮮なテーマもあります。

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