岡野邦彦[著] 実用オーディオ学 を読んでみました。まだツン読でこれから読み込んでいきますが。本の装てんは大学の一般教養で使うテキストのような感じで金額からしたらチープだなというのが正直なところ。
大学の先生が出したオーディオ本は今までも何度か目にしたことがありますが目立つのはハイエンドオーディオやマニアの行いを否定するような内容でした。
この本の著者はそれとは違って著者自身もマニアックなシステムを組んでいますしオーディオは何をやっても音が変わるというスタンスを持っている方というところが新鮮です。
それを踏まえてもベースとなる知識はあるわけで「科学の作法」としてこの本を記されています。
個人的に為になるなあと思ったのは
・アースと電源配線の科学
・室内音響の科学
です。
アースはオーディオファイルの間では接地抵抗の数字の話は出てきても機器をどう接続するかという話はなかなか出ないように思います。実際システムによってつなぎ方のベストは違うわけですがその辺りを分かりやすく説明されています。
自分のシステムの取組では理論を勉強するよりも聴感を優先してやって来ましたがアースに関しては結局AVプリからの1点アースがベストと判断しています。
この本の説明で新鮮だったのは「信号アース」に関してです。信号アースが電源のアースピンに接続されていなければ多点でも接地した方がいい場合もありうるということ。
さっそく自分のシステムで信号アースが落ちていないムジークのアクティブスピーカーを再び接地ラインにつなげてテストしてみましたが、結果は音が悪くなって駄目でした。
一度アース接続を追い込んだ音からすると音が死んでしまうと言っても過言ではないくらい違います。
2口コンセントとアースがつながっている電源ケーブルを使用しているなら絶対にここは検証して置いた方がいいポイントだと思います。そこを押さえずにアクセサリーに投資するのはすごい回り道になるので。
余談ですがスピーカーはフロントLCRとSW2本の計5本は接地していなくてもアースは銅バーやコンセントブロックを使って共有しています。
銅バーは昨今で言うところの「仮想アース」のようなものになってますが試しに有り無しで音を聴いてみるとあった方がわずかに良いです。
それから本書で解説されている電源ラインのループの話も新鮮でした。
つまり離れた壁コンセントから機器に電源をつなぐと電源のループができてノイズ耐性が弱くなると言うこと。「たこ足配線」がノイズに対してはむしろ有利であるという面白い指摘です。これは私の環境では専用配線のコンセントでないと使い物にならないので無視ですが。(笑)
デジタル機器のノイズの影響では音が途切れる現象を「ミュート」と表現されていますがこれはつい最近私も体験しました。
ルーターに給電する電源ケーブルのシールドをTDKラムダのアース端子につないだことがあるのですがもろにこのミュート現象が発生して元に戻しました。
室内音響の科学では周波数特性がフラットであることはあまり意味が無くて左右の特性が揃っている状態に近づけることの方がむしろ大事というのは私の経験上でも納得ができます。
個人的に音楽を聴いていて最も気になるのは実は左右のバランスだったりするのですがこれは自分の耳の調子とも相まってなかなか安定しません。
部屋の形で定在波の分布が決まってしまうのですが、部屋の形は後から変更することはまず無理なのでではどう対処したらいいか?というのがキモです。
筆者は配置などの基本を押さえた上でのグラフィックイコライザーによる解決法を説明されています。
定在波自体をゼロにすることは出来ないのですが低音の吸音処理などでリスニングポイントでの聞こえ方が結構変わるのを最近体験しています。ルームアコースティックの調整はパラメーターの調整をするようには行かず経験と勘に頼る部分が大きいのが悩ましいですね。私自身は予算さえ許せばトリノフのようにイコライザーの使用が出来るなら是非やりたいなというのが本音です。
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