2018年12月15日土曜日

今年観た映画作品2018その1

今年マイシアターで鑑賞して面白かった映画作品を記しておきます。特に面白かったものは五つ星作品に入れています。書いている順番は鑑賞した順番です。


マエストロ
2015(日本) WOWOW
監督:小林聖太郎
出演:松坂桃李 西田敏行

国内で有数のオーケストラだった中央交響楽団が解散した後再び招集がかかる。
しかし有力な元メンバーは抜けてしまっているし招集をかけた指揮者の天道のことを元団員達は誰も知らない。



個人的にはかなりの音痴で正直他人の演奏の善し悪しはよく分からないのですがこの映画はその善し悪しの部分を分かりやすく表現していると思う。プロの定義はお金をもらって仕事をするだけではなくてクオリティの高い仕事をすることというのはその通りだと思う。ちょうどNHKの朝の連続ドラマ「わろてんか」で北村藤吉役で出演している松坂桃李を観ているのですが改めて彼の魅力発見という感じです。西田敏行のマエストロぶりも迫真の演技です。一流の演奏家が練習でものすごく時間をかけるのは周知のことですが指揮者はやっぱり同じように練習するのでしょうか。素朴な疑問です。


ツイン・ピークス ローラ・パーマー最後の7日間
1992(アメリカ) WOWOW
監督:デヴィド・リンチ
出演:カイル・マクラクラン シェルリ・リー

山間部で起こった若いウエイトレスの殺人事件を捜査するためFBIから捜査官が派遣される。地元からは全く歓迎されず捜査は難航する。


TVドラマシリーズでは高校生のローラ・パーマーの死体が発見されるところから物語が始まるが、彼女の生前の様子から死までを描いた補足作品がこの映画作品。ローラがどんな少女でなぜ死に到ったのかが描かれるわけで時系列的にはこちらが前の話なのですがやはりドラマを観た後にこの作品を観ないとただの陰残な作品になってしまって楽しめないように思います。楽しむ。。。というと少し不謹慎な気もしてます。ローラは救いのない境遇で一体どうすれば彼女は救われたのか見終わった後で悩んでしまいます。


虐殺器官
2017(日本) WOWOW

監督:村瀬修功
出演:中村悠一 小林沙苗

サラエボでテロリストによる核攻撃が起こった後、アメリカ国内では個人認証の制度が進みテロリストを追放することに成功している。一方世界の各紛争地帯で虐殺が進行する事象が起こっている。アメリカの情報局はある一人のアメリカ人が虐殺の進行に関与していることを突き止めている。



暗殺を専門とするアメリカ特殊部隊員の主人公は文学部出身で、この物語中虐殺を進行させるキーになるのも言葉であることから文学や言葉に関して掘り下げるようなシーンが印象的です。
かつて中国に存在した「租界」を思い出しました。混沌とした大陸の中で租界の中だけは平和で豊かな社会が存在するいびつな構造。
しかし現代のテロリズムは外からテロリストがやってくるというよりは自国民が感化されてテロリスト化する事象などもあり租界を作ってしまえば安心というわけにも行かないと思う。
脚本がやや雑な気がします。最後のウイリアムズの行動など全く理解できませんでした。


メッセージ(2016)
2016(アメリカ) WOWOW

監督:ドゥニ・ヴィルヌーブ
出演:エイミー・アダムス ジェレミー・レナー

世界12カ所に同時に出現した謎の巨大物体。各国は個別に自国に出現した物体に対してアプローチする。
アメリカでは軍隊が設営したキャンプで女性言語学者と男性数学者を起用して「彼ら」の来訪目的を探る。



コミュニケーションをとるのに優位に立つのはより知識レベルが高い「彼ら」の方だと思う。
しかし彼らの方からはほとんどアプローチがなくコミュニケーションの努力は人類が主導となって行う。
そういう矛盾もあって彼らの来訪目的も最後まではっきりとしません。
知的好奇心をくすぐるスケールの大きな話なのですが終わってみればなんだか小品だったような妙な作品です。
どうして知的レベルの高い宇宙人をグロテスクに描きたがるのかも「E.T.」のころから納得出来ないところです。


夜明け告げるルーのうた
2017(日本) WOWOW

監督:湯浅政明
出演:谷花音  下田翔大

東京から父親の故郷である島に引っ越して暮らし始めた少年。自作の音楽動画をUPしたところ同級生に知られる事になり彼らのバンドに加わるのを誘われる。バンドの練習中に他の誰かの歌声が交じる。



同時に公開された「夜は短し歩けよ乙女」の方は合わなかったのですがこの作品のパワー感は素晴らしいと思います。
難しいことは抜きにノリで一気に観れてしまうのがこの監督さんの持ち味でしょうか。
人魚が生息する条件を満たしつつ彼らの人間と寄り添って生きていきたいというような空気感を良く描けているなと思います。
音楽を一つのテーマにしているのもいいです


劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディー
2017(日本) BD-ROM

監督:小川太一
出演:黒沢ともよ 寿 美菜子

京都大会で金賞を取り関西大会への出場を決めた北宇治高校吹奏楽部。合宿を敢行したりして部員は一丸となって演奏を磨き上げていく。


TVアニメシリーズの劇場版2作目。同じように劇場版を製作する場合大きく二つの進め方があると思う。ひとつは総集編的にTV版を編集してまとめたものとTV版の続編など新しいお話でやる方向。
この作品は前者ですがただ後半をまとめただけではなくて一つの作品として完成させたいというような意識を強く感じます。TVシリーズで大きなエピソードだったみぞれ先輩のイベントなどは潔くカットしてあすか先輩のエピソードにしぼり新たに細かなシーンなどを描き足していますね。特に良かったのはTVシリーズではしょられた全国大会での演奏がフルバージョンで描かれているのは良かったです。1作目同様LPCM5.1ch音声で収録されているのもファンにはうれしいところ。


アリーテ姫
2001(日本) 日本映画専門チャンネル

監督:片淵須直
出演:桑島法子 小山剛志

最適な結婚相手を見つけるまで城の塔に幽閉されているアリーテ姫。そんな自分の境遇に疑問を持つ姫は城の外の世界を知りたくてしようがない。



「この世界の片隅に」を観るまでは正直片淵監督に興味を持つことがありませんでした。
この作品は寓話的なシンプルさが特徴的ですがなかなかに密度が濃くて味わいがある作品です。
単純にお姫様と悪い魔法使いというふうにまとめることも出来るのですが大人の観賞に耐える重厚さがあります。
アリーテ姫の家族がどういう構成になっているのかがもう一つ分からなくて彼女の境遇が理解しにくいところですね。


マイマイ新子と千年の魔法
2009(日本) 日本映画専門チャンネル

監督:片淵須直
出演:福田麻由子 水沢奈子

山口県の農家で暮らす新子は小学3年生の活発な女の子。東京からお父さんと引っ越してきた上品な感じの女の子と友達になる。



「アリーテ姫」とこの作品を観て思うのは片淵監督は高畑勲さんのDNAを継ぐ監督さんかなという印象です。
表現が似ているというのとは少し違って志す方向性が少し近いと感じます。
何か大きな事件が起こるわけでもファンタジーな世界を描くわけでもなく日常を淡々と描くようなところが特に。
そして決して子供向き作品にとどまらない奥行きを感じるところがいいですね


ザ・コンサルタント
2016(アメリカ) WOWOW

監督:ギャビン・オコナー
出演:ベン・アフレックス アナ・ケンドリック

子供の頃自閉症だった男が会計士の仕事をしている。
彼には裏の顔がある。



主人公のキャラクターの設定が良く出来ていて面白いのですが脚本にかなり無理があるような気がします。
社長さんは一体誰と戦いたくてあんなすごい戦力を用意しているのか?
親父さんはなぜ死なないといけなかったのか?
謎のエージェントの目的は?


ひるね姫~知らない私の物語~
2017(日本) WOWOW

監督:神山健治
出演:高畑充希 満島真之介

父親と二人で暮らす高校三年生の女の子。夢の中で異世界のお姫様としてすごす。
突然父親が警察に逮捕され自身も何かの陰謀に巻き込まれてしまう。



ミニスカートの女の子が走ったり落ちたりのアクションは面白いのですが危なっかしくて現実感がほぼないですね。
その辺はファンタジーと融合させたことでうまく処理しているなと思います。
自動運転とAIは別物の技術だと思います。仕事で機械設計に携わっていて思うのはメカ屋がソフト屋にひれ伏すというような事態は個人的には起こりえないと思っています。
腕のいいソフト屋はメカの技術の信頼性なしでは仕事が成り立たないことをよく知っているからです。
逆もまた然りです。

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